メールを回す早さは、
人それぞれだった。
二十秒と経たないうちに送る者や、
五分近く迷ってから送る者。
大切な人間は、
最低でも二人は居る者が大半だ。
親友のどちらかを選ぶのか
それをスパッと決められる程
二十七人は出来上がっていない。
直感に頼り、送る。
送られなかった者は、
裏切られたと感じるのだ。
残酷なゲームは、
仲の良い親友達の絆を引き裂く物。
綾介にも、久琉斗の他に
大切な人間が二人居る。
一人は、深口 未来(フカグチ ミライ)。
久琉斗と同様、
仲の良い親友である。
もう一人は、赤崎 花香(アカサキ カオリ)。
綾介が、恋心を抱く人間。
どちらも友達付き合いは良い方で、
選んでも助かるだろう。
綾介は八分ほど迷い、
久琉斗が
「早く回さないと」
と言うまで固まっていた。
そして、送信ボタンを押す。
未来が、助けを乞うように、
綾介を見つめていた。
数秒後、
♫ピロロロロン♫
と、
未来の携帯が鳴った。



