それでも好きだから。




「洗って返すわ」

「え、いいよ」

「きたねえよ?」

「あ、う…」

「遠慮すんなよ」



塚永と付き合って約2週間。
今でも俺の前では、
困った表情をする。


なんでかな、遠慮しなくてもいいのに。
それに、甘えてほしい
って、素直に思うんだけど。


俺が朝練習の時の電車は、
通勤ラッシュの時間とは
少し早いけど、
塚永がいつも乗ってるこの電車は、
まさに通勤ラッシュで人が多い。


高校生や、サラリーマン、OLや
よくわからないおっさんまで。


正直、この電車に塚永が
毎朝乗ってるって思うと不安でしかたない。



「…っあっちいな」

「人、多いもんね…」


塚永を人ごみから避けるように
俺は、ドアの近くにある
ちょっとした隙間に
塚永を追いやって
後ろにある壁に手で自分を支える。


俺より15cmくらい
身長の低い塚永は、
こんな人ごみの中にいたら
埋もれてしまうくらい。


俺の目の前にいる、
大切な失くせない女の子。