「車?」

「新幹線で来ました。」

「じゃ、帰りは送ってあげるよ。家はどこ?」

「横浜です。」

「そう、俺は川崎なんだ。近いな。明日の予定は何?」

「私は滑りに来たわけじゃないので、特に決めてません。」

「写真を撮りに来たってこと?」

「はい、ゲレンデの風景を。」

「ふぅん、そうなんだ。カメラマン?」

「フリーですけど。」

「俺なんか、デジカメの操作もあやしいもんだ。」

「あの、杉山さん、私、少し眠気がするんです。部屋で休んでもいいかしら?」

「さっき飲んだ薬が効いてきたんだ。出よう。部屋まで送るよ。」

私は普通に歩けた。

彼は私の白いウエアについた血の痕と、破れた部分が気になるようだ。

「俺も部屋に戻るから、痛かったり、熱っぽかったり、喉が渇いたり、

何か変だったら、夜中でも構わない、電話して、いい?」

「ええ、ありがとう。でもきっと朝までぐっすりだと思うわ。おやすみなさい。」

「おやすみ。」

彼はかなりの心配性なのかもしれない、

私はそう思いながら寝てしまったようだ。