ゲレンデの恋

彼はメインロッジの医務室へ私を担いだまま駆け込んだ。

中は暖かかった。

先生は手早く処置した。

「しみますよ。」

ナースはもっと手早かった。

チューブを塗り、

透明のフィルムをピタリと貼って

私に保護用ネットを履かせた。

抗炎剤をもらった。

先生はナースに言った。

「彼を呼んできて。」

彼が入ってきた。

「先生、ケガはどうですか?」

彼の第一声が低く響いた。

「大丈夫ですよ。縫うほど裂けてないし、

出血も少なかったので、じきにふさがります。」

先生は私に向かって言った。

「アルコールと温泉は控えてください。

それと、二人とも今夜はセックス厳禁だよ、わかったね。

傷口が開くとよくない。また明日一番に診せに来なさい。

処置をしてから帰るように。」