ゲレンデの恋

黒川華。

なぜあんな風な物事のとらえ方をするんだ?

俺に否があったことを一切認めようとしなかった。

なぜ?

着信『杉山さん、お元気ですか?シーズンも最後になりそうです。

私にスノーボードを教えてください。華』

彼女からメールが届いた。

俺は無性に彼女に会いたくなった。

二人でゲレンデに立つことになろうとは夢にも思わなかった。

彼女は俺の何が欲しいのだろう?

俺は彼女の想いが欲しい。

「華、まさかウエアの下にカメラをぶら下げてないよな?」

「どうして?」

「危ないだろ?転んだらレンズが割れるぞ。」

「大丈夫よ、ケースに入っているから。」

「ダメだ。大切なカメラじゃないのか?」

「これは違うわ。自分で買ったデジカメですもの。ほらっ。」

彼女の手には最新型のデジカメが握られていた。

「やれやれ、俺の気苦労に終わりはない、華のせいで。」

彼女は昨夜ベッドで俺に溶かされた体をライトブルーのウエアに包み、

眩しい雪の上で俺を見つめていた。

ファインダー越しに。