私は黒川華。

フリーカメラマン。

父の遺品は全てカメラだった。

一人娘の私に残されたものだった。

「カメラじゃ、一文にもならないわ。手入れも大変だし、

現金はさっぱり残してくれなかったわ。」

ジェラルミンの巨大なケースをいくつも目の前にしてガッカリした。

フィルムケースの山とスライドの山と三脚の山に、

大小様々なサイズのフォトフレーム、

場所を取るものばかりだった。