「じゃあ、結婚しようか」

ふたりで慌てて部屋に入ると、同時にはーっと息をついた。


「ごめんね。肩身狭い思いさせちゃって」


「ううん。いいんですよ。こうして……」


こうして、ふたりでいられるだけで幸せ、と言いかけて飲み込んだ。


あんまり浮かれた台詞を口に出しちゃうと、変な奴と思われちゃうのが嫌だったから。