「………さぁね」



「えぇ!教えてくれないの!?」



「……1年生のころから桜本の絵描いてるの見てたこと、気づいてないのか」




速川くんがすごく小さい声で言ったけど、ちゃんと聞こえなかった。



「え?なにか言った?」



「言ってない。さ、そろそろ帰ろうぜ」



「う、うん……」



ごまかすようにカバンに私の絵を入れて立ち上がった。



美術室に色鉛筆を戻しに行くと、岡田くんはいつも通り、画材を片付けていた。



「先輩、おかえりなさい」



「た、ただいま!」



「先輩、その様子じゃ恋が叶ったみたいですね」



え……。



「な、なんでわかるの!?」



「先輩は気づいてないかもしれないですけど、表情に出過ぎですから」



えええ!!!ウソだぁ……。