『で、どうするつもり?』



『どうするって…』




『勿論別れるわよね。あの人、貴女なんかと結婚する気ないわよ。遊びの駒の一人だったわけだし、こんなこと、初めてじゃないからね。それに、私、こんなことで、別れるつもりないし』



『…わかってます』



『わかってないでしょ。別れてないんだから』

頭でわかってるけど、そんな簡単な事じゃないから…



『アドレス削除して、今すぐ』



『…』



『貴女に選ぶ権利ないの。お金もとられないんだし、これで済んで幸せと思いなさい』



『…』



『早く、消せ!』


それまで、静かに押し殺すように、話していた奥さんが、声をあらげた




私は、奥さんの目の前で、言われるがまま、アドレスを削除した





『二度と、ちょっかい出さないで。あっ、あの人も私が行ってるの知ってるの。了承済みだから。貴女もう、必要ないって』





私は必要…ない…



『あっそれから、教えといてあげる。あの人から着信やメールあっても、それはしつこい女かどうかのあの人のチェックだから。あの人よくやるのよ。未練がましい女はみっともないものね』





奥さんはそう言って、帰っていった