二軒目の居酒屋の後、お開きになって、たまたま同じ方向に帰るのが二人で、二人でタクシーに乗ることになった


そして、もう一軒行かないか?という、さっちゃんの誘いにのって、またあのバーに行った



『この前は突然手を握って悪かった。ずっと謝ろうと思ってたんだが、情けないが、逃げていた。すまなかった』



酔ったふりで、終わってた話なのに、さっちゃんは、わざわざその話をだして、謝った



そのとき、私の理性は段々くずれていった



『謝らないで下さい。私、あの時、嬉しかったです』



『えっ?そうなのか?てっきり迷惑かと…』



『私も課長のこと、尊敬してます。仕事も一生懸命で、部下のことも、考えてくれていて』



『俺は…お前のことばかり、考えてしまっているよ。上司として、失格だな。…でも、お前が好きだ』



そう言って、真っ直ぐに私を見てきた


そして、私は今度は自分から、さっちゃんの、手を握っていた



『私も…好きです』



はるとは、なんとなく付き合いだしたから、こんなストレートに好きだと告白されたわけでなかったので、本当に心に刻まれてしまった




『本当に?凄く嬉しい』



そう言って笑ったさっちゃんは、上司の顔ではなく、今まで見たことない表情で、私はこの時、これからはこんな顔見せて貰える存在になったんだと思った



はるに対しての罪悪感が、ふっとぶくらい、彼の笑顔に惹き付けられ、そして私達は、付き合ったその日に体も結ばれた



結婚している男がすぐ手を出すなんて、溜まってただけだろうとか、遊びだからと言われるだろうけど、彼との結びつきはそんな軽い感じがしなかった



凄く愛情ある行為で、強引じゃなく、お互いが求めてしまったから、早すぎた行為とは思わない