『…お話出来る?』




さっちゃんの奥さんだった



前の時とは違い、化粧っけもほぼなく、なんとなく窶れて疲れている感じがした



会社近くの喫茶店に入った




さすがに会社の前で話すわけにはいかない



紅茶を一口飲んでから、奥さんが口を開いた


『…あの人と別れて欲しいの。お願いします』



この前とはうってかわって、懇願して頭を下げる奥さん



『頭を上げて下さい』



『お願いします』



『…もう、別れてます』




『別れてないはずよ。だってあの人、私と別れるって。別れたいって』



そう言いながら、涙を流した




この前の強気な態度とは、全然違う



『私、あの人がいないと駄目なの。私からあの人とらないで。お願いだから』





ハンカチを握り締めながら、うつむく奥さん


さっちゃんを愛してるのか、依存してるのか、どっちかはわからないけど、プライドを捨ててまで、私にお願いするのをみて、なんとなく切なくなった