「……人は…人に感化されるものです。長く一緒にいると…どうしても、似て来たり…。ですから…、つかささん。僕は、運命だと…言ったでしょう?あなたの笑い方は、彼にとてもよく…似ています。あなたが僕と彼が似ていると思った由縁も……それと、同じことが言えるんじゃないでしょうか。」
「………。マスター…」
「はい?」
「『彼』は、よくここへ?」
「……ええ。気まぐれではありましたけど…常連客です。いつもミルクティーを飲んでいました。」
「………!」
「彼が話す『彼女』は…正直幸せな人だと…思いました。彼が語ると愛情が込もってしまうんでしょうね。バカとか、アホだとか言う癖に…顔が笑ってるんです。どんな方だろと…想像を巡らせました。僕はずっと、彼のフィルター越しに…あなたを見い出そうとしていたんです。」
「……笑って…」
「あなたの話をするときは…笑ってましたよ。……いい顔で。」
君は……ここにいたの……?
私は…
お店の中をぐるっと…見渡した。
ここから見える景色は……
彼がみたもの。
「……まさか、こんな形で会えるとは…僕は思ってませんでした。でも、彼は。信じて…いたんです。」
「……え?」
「あの日、クリスマスイヴの日…。彼は…ここにいたんです。」
「………え……?」
「彼と僕で…計画を立てていました。『露骨にクリスマスの雰囲気出すと、あいつは素直に喜べない。だから…今日だけ。ここだけは、クリスマスをやめよう。』『マスターにバレないように、何とか二人きりにして。』……彼の無茶なお願いを。僕は……聞き入れてしまいました。ツリーも、リースも片付けて。外のボードに、貸しきりって書いて。まあ、多分バレるだろうから、マスターにはこっそり話してOK貰えたからですが……。とにかく…、準備は万端にして。彼はここを…出ていきました。」


