君に、メリークリスマス





「……いいなあ…、リョータは。…余裕があって。」


「…………。」




君が見つめる先は……

もうすでに、


近い未来であることが……悔しかった。



その、現実的なビジョンが…、容易に想像できてしまう。




君の未来に。


私は……要らない。


映し出されることも…ない。




「私も早く受験終わって、思いきり…遊びたいよ。」




「…………。」



最上級の…嫌味だった。



『置いていかないで』


そんな言葉を言えるほど、まだ大人じゃなくて…。


君なら分かってくれる、と、過信してたのかも…しれない。




「……嫌味だな。」



ポツリ、と呟いた君の横顔が…少し寂しそうに見えたのは。


気のせい…だったのか。




途端に、


視界を…遮られて。



君が、私に…キスを落とす。





















「……メリークリスマス。……ザマーミロ。」



















肉まんを、ポトリと…地面に落としてしまった。




最高の…どや顔で、


最上級の嫌味を…返されたのだ。






私には…クリスマスは無縁で。


小さい頃から、特別な日でも、何でもないはずだった。





君はそれを知っていて…。


罠に、はめたのだ。



18年の月日を重ね、


ゆっくりと…ソレが、浸透するように。







クリスマスは……君が一番近づく日。