君は、徐に手を伸ばし。
私の……うなじに触れる。
そのまま、ぐいっと引き寄せられて。
………キスをした。
「「…………………。」」
初めての…キスだった。
頭の中は真っ白で。
クラクラ…していた。
甘いお酒の香りに、その…息づかいに、酔ってしまうんじゃないかと…思った。
「………ねむっ。」
唇を離して、君は私を…解放すると。
また、ごろんと…横になって。
そっぽ向いてしまった。
「……………。」
気まぐれな…
ネコみたいに。
丸くなって。
私は、ベッドの下に、また手をやると……
手にしたものを、今度こそ…引き上げた。
「………あ。……これ……。」
「……。……あん時の…朝顔。」
幾重に絡まりあって、ほどいた…朝顔の蔓が。
また、君の手によって……つなげられて。
輪を…作っていた。
赤い木の実に、色付けされたどんぐりと、松ぼっくり。
可愛い…クリスマスリース。
だから、あの時…切るな、と……?
「………くれるの?」
「……うん。」
「これ、私の為に?」
「……。………やっぱ、あげない。」
「え。なにソレ。」
「嘘。やっぱ…、…やる。」
「……どっちよ。」
「欲しいなら。」
「じゃあ。」
「じゃあ、ってなんだ。やらん、そういうヤツには。」
「欲しいです。」
「……どっちだよ。」
「「…………………。」」
「……うん。別に…お前の為とかじゃないから。ただの自己満。」
貰ったリースを、部屋の壁に…飾った。
「寺なのに、いーのかよ。」
「いいの。ここだけは…、特別。」
まるで…
この部屋は、
私達の…秘密の場所のようだった。
ご本尊様さえも知らない、聖域……。
ただ、今宵…
空の上から。
もしかしたら…そりに乗ったおじいさんだけは…
見ていたかも…しれない。
君は…
笑った。
目を細めて…
笑ったんだ。


