夢を…見ていた。
カタカタと、机の引き出しから音がして。
中から…
いびつな格好のサンタが、這い出してくる。
ペラペラの…薄っぺらいサンタ。
トントン、
トントン、
寝ている私の肩を…叩く。
トントン、
『なあ…、』
「……う~ん……。」
『プレゼント、欲しくないか?』
「……は?」
ぱちっと目を覚ますと。
そこは…自分のベッドの上。
なのに、何故か目の前に……
君の顔。
「…………サンタ…?」
これは……夢?
「誰がサンタだ。」
「………。」
リョータ、何でいるの?
君が、私のすぐ側に…添い寝している。
「聖夜に、女子の部屋に侵入って…どうよ?」
「お前に聖夜もクソも、関係ないだろ。いつからキリシタンになった。それにまだ…9時だ。親父、すんなり通してくれたぞ。とんだ神父さんだな。」
「………。『坊主』だし。ねえ、リョータ…。」
「ん~?」
「酒臭い。」
「あ。バレた?ヤローどもで飲んでたからな。」
「……大人だね。」
こちとら、まだジュースしか飲めないってのに。
いやいや、法律違反でしょ。
私はゆっくりと……体を起こす。
「………ミサは?」
「そもそも、約束すらしてねーし。」
「でも、朝…」
「否定も肯定も、してなかっただろ?」
「……………。」
「誰かさんと違って優柔不断じゃねーの。ダメなら、最初から期待持たせるようなことはしない。」
「……………………。」
「お前の方こそ、おこちゃまジュース飲んでふて寝って…。とーじに振られたか?」
君は、子供ビールを指差して…。
寝転がったまま、いししっと笑う。
「違うもん。」
「なんだ、慰めてやろうと思ったのに。」
「……遠慮しとくよ。」
「せっかくいーもんもってきたのに?」
「いーもん?なに、なに?」
「ははっ…、ばーか。」
「なによーう。」
ぶううと膨れっ面すると。
君はベッドの下を指差して…
「めんどくさい。自分で取って。」
仰向けになって……
自分の目元に手をあて、瞳を…閉じた。
「…………仕方ないなあ……、めんどくさがりめ。」
そう言いつつも、わざわざベッドを降りて取ろうなどと思わない辺りは、
私も…人のことは言えない。
「リョータ、邪魔。」
君に覆い被さるようにして……
ベッドの下に、手を伸ばす。
「……。重い。」
「うるさいな。」
手の先に、何かが触れて…
「……お…、あった。」
それを……引き上げようとすると。
「待て。一個だけ…聞く。ちゃんと、答えろよ?」
君のそんな声に…、手をピタリ、と止めた。
君は目を開けて、顔を天井に向けたまま、ポツリと…呟いた。


