この日、東次と会う約束をしていた。 二人で映画を見て、 ご飯を食べて、 街を…ブラブラして。 いっぱい……笑いあった。 楽しかった。 だけど、心は満たされぬまま… ぽっかりと穴が開いたかのように…、時折、ふと空虚感が襲ってきた。 その理由は…… 分かっていた。 分かっていたはずだった。 「もう少し一緒にいたい。」 そんな、東次の言葉に。 「家族がケーキ用意して待ってるから。」 そんな…浅はかな嘘をついて。 東次からも、自分の気持ちからも…… 逃げた。