君に、メリークリスマス






クリスマスイブの朝…



私は、外に出るや否や…


君にバッタリ出くわす。





「「…………。」」




お互いに、よそ行きのような格好だった。





「……お出掛け?朝からご苦労さん。」



「……そっちこそ。」



「「……………。」」



微妙な間が、気まずかった。



「ついにお前も、処女喪失か。」


「はあ?!」


「朝っぱらから大声出すなって。だって、デートなんだろ?」


「……。そっちこそ。」


「俺?………。ああ、まーな。」


「良かったね、今度こそ…本命?ミサ、かわいいもんね。」


「……。……とーじもいい奴だもんな。」



「「……………。」」






「じゃー俺、こっちだから。」


「私はそっち。……じゃあ。」


「じゃーな。」






歩く道の先が…


視界が…


段々狭くなっていった。


真っ暗な闇に…囚われていくのが……わかった。




今年のクリスマスは…



お互いに、違う相手と。







分かっているのに、寂しいなどと思っては…


ダメだ。