また、冬が来て……。
少しずつ、周囲が慌ただしくなった。
君は学校から帰ると、家の雪囲いが待っていて…。
いつ覚えたのか知らないけれど、器用に囲いを作っていく様子を……
私は、寺の本堂から…覗き見ていた。
いつかは、お母さんの車のタイヤ交換までしていて。
その働きっぷりは…既に、一家の大黒柱のようだった。
「よく働くねー…。」
私はやっぱりそれを近くで見ながら。
ポツリと…呟いた。
「家は母子家庭だし、できるだけ節約しねーと。無理言って私立に入れてもらったし、金銭的にもキツい。」
「そんなに、うちの高校が良かったの?リョータならもっといい学校入れたでしょ?」
「……。……だって…、…いや、家から一番近いし。」
「ふーん。じゃあ、私と一緒だ♪」
「あ?お前、そんなつまらん理由で決めたんか!」
「……え。リョータもでしょ??」
「…………。…てか、何でお前はここに入り浸ってんだ?スゲー集中に欠けるんだけど。」
あれ、今…
ごまかした?
「……うん。リョータの動きってムダがなくて…どんどん出来上がっていくのを見てると楽しーの。」
どんな理由よ、本当は。
「あっそー。つか、ここはお前んちか?」
「いーじゃん、ホームグラウンド圏内でしょ。」
私達は、まるで…
腹の探り合いをしているようだった。


