目を開けると。
そこにいるのは……君ではなかった。
「似合います。こっちが…妬けてしまいそうなくらい。」
「………マスター…。」
右手に嵌め込まれた指輪は。
照明の光を反射して……キラキラと、輝き続ける。
「大誤算…でしたね。」
「……え?」
「…僕に託す辺りが…まだまだ甘かったかな。」
「………?」
「マスターって呼ぶの、終わりにしませんか?僕は確かに、マスターになりましたが…、彼の友人でもあって、貴方に惹かれる…一人の男です。悔しくも…なります。だって、貴方は…ここに来て、真っ先に…この指輪置きに、目が行った 。彼がそれを…喜ばないはずありませんから。」
彼はそう言って。
恥ずかしそうに…笑った。
窓から射し込んだ日の光が……
彼の赤い顔を、照らしていた。


