《伊月side》



ハワイの日焼けが少し腕に赤く残ってる9月。


残暑って言葉がまるで合う今日。


文化祭シーズン到来で、授業ナシで文化祭の準備。


劇をやるらしい俺のクラスで、大道具を選んだものの暑さに負けて大和と屋上で涼み中。


「あ~……あっちぃ……。海行きたい……」

「つーか、そろそろサボリまずいだろ。教室戻るか……」

「ヤーダー!風通しくそ悪い教室になんて戻りたくない!」

「それ、お前の親父に言ったら改善されんじゃねぇの?」

「確かに!!理事長だからな……。おっし、交渉してみよ」


それに早く気付けよ。


ペットボトルの水を飲み干し、暑さにうなだれる。


大和に至っては、地面に寝そべってるし。


「……そういや、長期停学でやっと出て来たヤツのこと知ってる?」

「人のこと興味ねぇもん」

「笹田翔大(Sasada Shota)ってすっげーヤンキーっぽいの!」


笹田翔大………


どっかで聞いたことある名前。


思い出せないな……。