「隣、いい?」

しゃがみこんで、少しだけ微笑む彼。

その笑顔はすごく色気があるもので、そして私は彼のそのおねだりに弱い。

「…いいよ」

いつも、それを許してしまうから。




微笑んだ彼はその場に座り込み、私の手を離さずにギュッと握りしめた。

……片岡明…?

いつもなら、座るだけなのに。

手を握ったままになんてしないのに。

どうしたんだろう?

そう思い、空を見上げる彼の顔を見上げて気づいた。

…なんだろう。

苦しさ、虚ろ、切なさ…。

そのどれでもあって、どれでもないような、そんな表情。

彼でもそんな表情をすることがあるのか。

まるで……

「ねぇ、麗?」

みとれてるみたいに。

「なに?」

平静を装って聞き返して見たけど、内心はすごく焦っていた。

なんだか、彼がこのまま消えてしまいそうで。