呑み込まれた言葉と、重なる唇。

あぁ…思い出した。

唇の上のキスは…愛情。

溢れ出す愛しさを伝えたくて、彼の服の裾をキュッと握りしめた。





「ごめん、泣かせて…」

長いキスが終わったあと、彼は私の頬にキスをした。

意味は…厚情。

私のことを気遣ってくれてるのだろう。

「いい……別に」

「俺がよくないの」

「…過保護」

「どうとでも」

「……クスッ」

なんだか片岡明の顔がおかしくて、思わず笑ってしまった。

「え……っ」

すると、みるみるうちに赤くなっていく片岡明 

どうしたんだろう。

「片岡明?」

そう呼びかけると、彼は急に私の唇に人差し指を押しつける。

「片岡明じゃない。明」

「へ?」

「ちゃんと名前で呼んで?」

クスリと笑う彼の妖艶な顔に、顔に熱が集中した。