「麗?」

「言ってないんでしょ?気持ち。
伝えてこなきゃダメだよ」

私は無理やり笑顔を作った。

私の…最後の悪あがき。

「……もう、後悔したくないでしょ?」

「……っ!」

息を呑む音が、小さいけど確かに伝わった。

私はそっと起き上がって、握られた手をそっとほどいた。

「私はここにいつでもいるから…」

俯いている私は、彼がどんな顔をしているかわからない。

頑張れ。頑張れ。

まだ…泣いちゃダメだよ。

「行っておいで」

彼がここからいなくなるまで。

だけど。




「え…、な、んで…」

私はワケがわからなくなった。

背中に回された力強い腕。

間近に感じる彼の熱。

…抱きしめられてるのに気づいたのは、しばらくたってからのことだった。