* * *




「本当、私達が悪いと思わない?ゆっくん」



私は密かに思ったことを一緒に歩きながら帰っている彼、ゆっくんに話す。


なんのことかわからない・・・
と迷った感じの空気を出していたけどなんとなく察したみたいだった




「確かにね〜、やっちゃんって人のこと見る目、自分のことの印象はどう思われているか分かっているっぽいけど」


「自分を相手はどういう立ち位置にいるのかは気づいていないってね」




ほのかともりの恋愛は見ていてハラハラするというかなんというか




「もりが好意を寄せているのに気づきもせずに無邪気に笑顔を振りまくしね」




いつも私を筆頭にもりをイジっているけどさすがにこの場合は可哀想になってくる



実を言えば私はほのかと同じで隣にいる彼を振り回している





「はい、借りたヘアゴム」


「明日返してくれてもいいのよ?」


「なんか明日だと忘れそうだから」





ゆっくんが私のことを異性としてしっかり意識している、そのことはいつからなのか知らないけどなんとなく分かる


このヘアゴムの件だって話をする口実だろうしね


それを気づかないフリをして、いつも通り、昔とあまり変わらないように接する、変わってしまう、ただそれが怖いから


きっと悪女の部類に入るかな





「それに明日はレッスンあるんでしょう茜」


「えぇやりたくはないけれど、」


「っていうかさぁ〜」




妙に間の伸びた話し方で内容がガラリと変わるんだなと、



「部活内だけでもいつも通り呼び合おうよ」


「変な勘違いしそうな馬鹿がいるじゃない」





幼馴染みって嫌なポジションだよね
漫画でも幼馴染みは報われない、両片思いでも?

周りにからかわれるだけでもう元には戻れなかったり




「そうだね」



少し寂しそうな声
ごめんね、私が臆病だからこんな答えしか出せなくて




暗い、人気のないこの道は、私と優矢の足音が響く


前からずっと聞きたいことが多すぎる
毎日どうして私なんかと帰るのか
友達と帰ればいいのに



私なんかより楽しきハズなのにね