「お母さん・・・・・・仕事だけど・・・その」





今は何の時間だろうか
お母さんはこういう言葉を何回も言う、だから何の時間かは分かるけど気が一瞬遠くなる







「大丈夫、もう子供じゃないんだから」






精一杯の笑顔でお母さんを安心させるこの時間






そうだ、お母さんが仕事に行くからだっけ?
風邪の弟の面倒を見てくれ・・・って








「さすが、お姉ちゃん」







この言葉を聞くのも
この言葉をいうのも






いったい何度目?







寂しいなんて、お母さんに気づかせないためにずっと、ずっと無理して笑うものだからさ
偽りの自分を演じるなんて簡単だよ




逆に



本当の自分が分かんない






というか感情を出すのがつらい







「・・・・うん、いってらっしゃい」




子供って幼少期どうやって過ごしてきたかで性格が決まるって本当なんだな









2人しかいない静かなこの家に扉の閉まる音がむなしく響いた