「ねぇ、お父さん!」


あたしはお父さんの隣に座り、空になったグラスにビールをつぐ。


「どうしたんだ芹香。怜央君は帰ったのか?」


「怜央は帰ったよ。あのねお父さん、あたしスマートフォンがほしい!!」


「スマートフォン……? あぁ、新しい携帯電話か」


「そう! スマホじゃないとできないゲームとか、沢山あるの。


それに、友達も怜央もみんなもうスマホに変えているし……」


そう言っていると、キッチンからお母さんがおつまみを持ってきて、あたしは言葉を切った。