「結登の部屋はこっちよ」


山路さんはギシギシときしむ急な階段を上って行く。


古い作りの家で、階段の上には赤色の電球がぶら下がっている。


歩くたびにキシム床に気を取られていると、芳香剤の匂いが更にきつくなっている事に気が付かなかった。


階段を上がりきると、窓のない、薄暗く狭い廊下が広がっている。


「匂い……すごいですね」


ここへきて芳香剤の匂いに気が付き、思わずそう言っていた。