アーケードの入り口付近にある喫茶店は落着いた雰囲気だった。


こげ茶色の木目のテーブルと椅子。


天井からぶら下がっているライトはオレンジ色で、静かな音楽が流れている。


その小さな喫茶店の一番の奥の席に俺たちは座った。


それぞれにコーヒーを注文し、それが届くまでになんとなく重たい沈黙に包まれた。


「ゲーム、案外簡単だったね」


その沈黙を破ったのは山路さんだった。


「そうですね。でも、芹香のときはもっとひどかったです」


俺は沈黙を破ってくれたことにホッとしながらも、険しい口調で返した。