「……俺、芹香との思い出は高校に入ってからしか持っていないんです。少しでも多く、芹香の思い出を作りたいんです」 「……そう。それなら、貸してあげるわ」 母親は少しだけ目に涙をうかべ、頷いてくれたのだった。