まだ、芹香の死を受け入れるには早すぎた。


もう1度、芹香の入院していた病院へ行ってみよう。


そう考えクルリと向きを変えたとき、一台のタクシーが向かってくるのが見えた。


邪魔にならないように体を横へずらした時、そのタクシーに芹香の両親が乗っているのが視界に入った。


丁度今帰って来たところみたいだ。


タクシーは家の前で止まり、父親の手の中には白い遺骨箱があった。


すぐに俺の存在に気が付いた両親は軽く会釈をしてくる。