自殺として処理された芹香の死は、匿名のまま新聞に大きく載せられた。


けれど葬儀には特別仲の良かった友人数名と、親戚だけというささやかなものだった。


自殺という事を考慮してのことだと思う。


俺は制服に身を包み、芹香の葬儀が行われている会館にいる。


参拝客の後ろの方から芹香の写真を見つめていた。


お香の香りとお経を読む声がじわじわとこれは現実なんだと、俺に訴えかけている。


少し列が進んだ時、俺の横に黒い服を着た女がスッと立った。


俺は視線だけ動かし、その女を見る。


俺の視線に気が付いたのか、女が顔をあげてこちらを見てきた。