その口角はほんの少しあがっていて、まるで素敵な夢を見ながら落下したかのように見えた。


「芹……香?」


俺はその場に膝をつく。


顔の半分が崩れ、頭部から脳が飛び出している。


誰がどう見たって死んでいる。


だけど、俺は芹香の体を抱きしめていた。


血まみれになった頬をなんどもなんどもさする。


「芹香……芹香。俺だよ、やっと会えたな……」