それはまるで何かに追われてそうなってしまったかのように見えた。


しかし、芹香が飛び降りた後の向こうに人影は見えない。


咄嗟に、俺は走っていた。


落ちてくる芹香へ向かって。


間に合うワケがない。


助けられるワケがない。


そんなこと、微塵にも考えなかった。


ただ走って、どんどん近付いてきていた芹香が。俺の目の前で頭から地面に着地した。


芹香の可愛い顔が芝生に激突し、グシャッと音を上げて崩れた。