~怜央side~

芹香のいた病室を出て一階まで下りる間、俺は芹香を担当している看護師とすれ違った。


そのネームは逆側の胸につけられたため確認することができず、俺は大してその看護師を気にすることもなく、エスカレーターに乗った。


途中で何度か止まり、人が乗ったり下りたりを繰り返しながら一階まで到着する。


扉が開いてすぐ目の目に広がる待合室。


たくさんのお見舞客や患者の間をすり抜けて、出入り口へと進む。


頭の中には目を閉じている芹香の顔が浮かぶ。


少しでも早く、目覚めますように。


病室でも祈ったように、再びそう祈りながら病院を出た。