~怜央side~

俺は芹香の見舞いに病院へ訪れていた。


芹香が自殺しようとしていた生徒を助け、屋上から落ちたと聞いたのは一週間ほど前のこと。


その頃俺はようやく警察から解放され、真っ先に芹香の家を訪ねたんだ。


俺は芹香の寝顔にそっと触れた。


頭に巻かれた白い包帯が痛々しくて、涙が出そうになる。


「がんばれ、芹香……」


そう呟き、触れていた頬にキスをする。


この時、俺は心からそう願っていたんだ。