自分の膝の上でこっそり携帯電話を開くと、まだ画面は真っ暗なままだった。


当然、電源も入らない。


「そうなんだ?」


「電源が入らなくて」


「じゃぁ、しばらく芹香にメールできないね」


「そうなの。ごめんね?」


「大丈夫だよ、なにかあったら家に連絡するし」


「うん。ありがとう」


和花の言葉に、あたしはホッとして微笑んだ。


今の時代、家の電話に連絡をするのは正直勇気がいることだ。