あたしがいなければ。


あたしがゲームなんてしなければ。


みんなが危険にさらされることだって、なかったのに!!


「芹香、ちょっと気分転換してみない?」


穏やかな声でそう言われ、あたしは涙でゆがんだ視界の中、お母さんを見つめた。


「温泉のバス旅行が当たったのよ。ペアで」


そう言って、お母さんはエプロンのポケットから2枚のチケットを取り出した。


それは全国的にも有名な温泉地のチケットで、お母さんは近くの商店街で当てたのだと言った。