自室へ戻ろうと階段までさしかかった時、血まみれの【悪魔】が目の前で倒れているのが見えた。


一瞬息を飲み、数歩後ずさりをする。


体中から汗が吹き出し、その幻覚から目をそらすことができない。


まるで金縛りにあっているような状態で、あたしは目を大きく見開いた。


いないはずの【悪魔】が、こちらを見た。


階段を落ちた拍子に首を折れ曲がり、90度横へ向いた状態の【悪魔】と目が合う。


その目は頭部から流れ出る血によって赤く染まり、瞬きをするとその血は床へと落ちて行った。


これは幻覚だと頭では理解しているのに、呼吸は徐々にはっはっと小さく短くなっていく。