怜央が玄関を開けると小雨が降っていた。


「遊園地の時みたいにスコールに変わるかもしれない。早く行こう」


下駄箱から傘を2本取り出して、怜央が言った。


「怜央、雨になったら帰るのが大変だから1人で大丈夫だよ?」


「なに言ってんだよ。こんな状態の彼女、ほっとけるかよ」


怜央はそう言い、あたしの髪に指をからませた。


その指先はとても暖かくて、あたしは思わず笑顔になった。


「ありがとう、怜央」


「あぁ。行こう」