怜央を2人で屋上へ出ると台風の風が吹いていた。


また、雨が降るかもしれない。


「芹香、携帯電話を見せてくれ」


差し出された怜央の手に、あたしは携帯電話を乗せた。


怜央は真っ暗な画面を見つめながら、色々とキーを押したりしている。


「全然動かない。完全に壊れているじゃないか。バッテリーも入ってないし」


少しホッとしたように怜央が言う。


しかし、その時だった。


いつものように、携帯電話は低い音を立てて震えたのだ。