あたしは無言で携帯電話をしまうと、和花の手を掴んだ。


これは冗談なんかじゃない。


ついさっき悲鳴を上げた女性はすでに生気を失い、血を吐いてその場に倒れている。


「和花、ここから出なきゃ」


「わ……わかってる」


けれど和花は動かない。


「どうしたの? 早く出なきゃ!!」


「わかってるってば! でも……足が動かないの……!」


次々と倒れていく人から視線を外すことさえできず、和花はカタカタと小刻みに震えている。