「そっか……」


体を起こそうとすると切られた左腕に痛みが走って顔をしかめた。


でも、腕には和花のスカーフがきつく巻かれていて、もう血は止まっているようだった。


「ごめんね和花。スカーフ汚れちゃったね」


「スカーフくらい、気にしないで。それより、病院に着くまで寝てなきゃダメだよ?」


「うん、そうする」


あたしは体を起こすことを諦めて、右手をぽけっとにいれた。


すぐに携帯電話の固く冷たい感触が指先に触れる。


あたしは一度呼吸を整えてから、携帯電話を取り出した。