バランスを崩したあたしは足を一歩踏み出し、なんとかこけないように踏みとどまる。


男が目の前にいる。


恐怖が体中から湧きあがり、相手のつりあがった目に引きずり込まれそうな感覚を覚える。


男がナイフを振り上げるのが見えた。


「いやっ!!」


あたしは咄嗟に男を突き飛ばし、近くの公園へと走った。


しかし、そこは四方が壁に囲まれていて隠れるような遊具もない。


ハッと振り返ると、男が入口まで来ている。


どうしよう……。


逃げ場がない!!