そして、10分ほどたった時だった。


迷路の中を右へ折れた時、左側の壁に寄り掛かるようにして座る込んでいる1人の老婆が目に入った。


老婆は白髪を後ろで1つに束ねていて、濃い紫色の上着とクリーム色のスラックスという姿だった。


それでも、服はすでに泥まみれだ。


けれど、あたしはその老婆を見つけた瞬間、心底ホッとしていた。


「大丈夫ですか?」


膝をついてしゃがみ込み、あたしをまっていたハズの老婆へ声をかける。