自分も死ぬかもしれない火事の現場に、水もかぶらず、なんの準備もせずに入って行くような無茶はしない。


「出口、どこだろうな」


「……入り口の所に、平均所要時間は30分って書いてあった」


念のため、入り口の説明書きをよく読んでおいたのだ。


いざという時の非常口もあると、書いてあった。


「へぇ、わりと時間がかかるんだな」


怜央はそう言いながら、右へ左へと歩いて行く。


方向を理解して歩いているのではなく、あてずっぽうみたいだ。