迷路の中へ入ると、木の香りが鼻をくすぐった。


天井はなく、周囲を囲まれているだけなので午前中の雨で少しジメジメした空間だ。


あたしは無意識のうちに怜央の腕を強くつかんでいた。


「どうした? 迷路がこわいのか?」


「……ううん。大丈夫」


あたしは小さく首を振る。


あたしが怖いのは迷路じゃない。


ゲームのほうだ。


けれど、今回は怜央が一緒にいるためか少しは冷静でいられる気がした。