手のひらに伸びた爪が刺さる。


「行こう、芹香」


嫌だとは、言えなかった。


断れば、明日の朝、和花が……。


一瞬、血まみれになって目を見開く和花の姿が脳裏をよぎった。


それだけは、避けなければ……!!


あたしは怜央に手をひかれながら、巨大迷路へと足を踏み入れたのだった。