「分かりましたから・・・
もう、顔上げて
ソファーに座って下さい・・・」


「本当ですか!?
ありがとうございます!!」


目を輝かせながら
うれしそうにそう言うと
ソファーへ座りなおした。



「あーあ、春菜
ほんとにいいのかー?」


薄ら笑いを浮かべて
そう言ってるけど・・・


絶対、私が断れないと知ってて
私の方に言わせたんだ。


「先輩、明日
お願いします」


「あーはいはい。
その代わり、お前
ちゃんとした格好で
女の親に会いに行けよ?」


「はい、それはもう・・・
それで・・あの
バイト料なんですけど・・・」


「んなのいらねぇよ。
結婚すんなら
ちゃんと貯めとけ」


「いいんですか?」


「金ねぇやつから取るほど
困ってねぇよ」


「すいません、ありがとうございます」


「んで、何時に行きゃいい?」


「できれば・・7時過ぎには・・
その、説明とかあるみたいなんで」


「はいはい、了解しやした」


面倒臭そうにそう言っているけど

私は、こういう時の輝樹が

何気に好きなところでもある。

不器用だけど、ちゃんと
優しさが伝わってくるから。