ナンパ男との恋~最終章~

「後悔なんてするはずないじゃないですか」


「でも、あいつの事だから
浮気とかあるんじゃないの?」


そう言いながら
女性と話す輝樹の方に目を向けた。


「そういうのを気にしないかって聞かれれば
そりゃ、嘘になるけど
でも、後悔するって事は
輝樹と過ごしてきたすべてを後悔するような事になるというか・・・
それに、輝樹の人生の中で一番
一緒に過ごしたのが私であれば
後悔よりもうれしさがあるかな・・・なんて思ったり。
あーいえ、でもきれいごとですね・・
本心言えば
自分以外の人に輝樹に触れてほしくないくらい嫉妬深いんですけど」



「せっかく良い事言ってたのに
最後でぶち壊すんだからーははは」



そう言いながら笑われてしまっているけれど・・・



「私さ、亮に
籍だけでも入れないかって
言われてんの。
もし、自分に何かあった時
過ごした事を
まるで、なかった事みたいに
人生を終わるのは嫌なんだって。
結局さ、いくら長年付き合って暮らしてても
紙切れ一枚の事だけど
何かあった時、連絡がいくのは
戸籍上の人間なんだって。
だから、もし
亮が知らない土地で事故にでもあったら
連絡がいくのは
私じゃなくて、亮の両親なんだってさ。
そんな説明されるとさ・・・・
一人になるの嫌になっちゃうじゃんね・・」


少し泣きそうな表情に見えてしまうのは
一瞬でも、そんな想像をしてしまったからなんだろうか・・・


「春菜ちゃん、飲んでる?」


こんな雰囲気を察する能力に欠けている健二くんが
背後から急に現れ


「健二くんとは飲めても
私とはお酒が進まないみたいよ?
春菜ちゃんって見かけによらず
ひどいよね~」


美穂さんが
健二くんに悟られないように
そう言いながら
笑っている。