ナンパ男との恋~最終章~

けれど、こんな心境状態では
熟睡なんてできるはずのないのは当たり前の事であり
結局、輝樹の寝息が聞こえ始めると
そっとベッドを抜け出し
鏡の前で
どうすれば自然に隠せるかと試行錯誤している。


ダメだ、不自然すぎる。


これじゃ、目立たなくなる前にバレるのは時間の問題だ。


この赤いアザを見ると
大きく大きくため息がこぼれてしまう。


「春ちゃん?こんな時間に鏡の前で何してんの?」


突然の声に驚き
勢い良く後を振り向くと

帰ってきたばかりの春樹が
キョトンとして私の方を見ていた。



「お、おかえり。早起きしちゃったから
顔洗おうかなって」



「早起きって、まだ4時半だよ?夜中じゃん?」


「えー、もう朝だよ?
年とったから早起きになっちゃったのかな」


なんて、笑いで誤魔化すように
水を出し顔を洗い始めている私。


けれど、タオルで拭きながら顔を上げると


「輝ちゃんまで早起き?」


「休みなのに早起きなんかするわけねぇだろうが。」


春樹の横に
不機嫌な様子の輝樹が立っているわけで・・・